感情に働きかける。説得を有利に進めるための下準備

今回は他者を説得するというテーマでお送りしたいと思います。

説得というと、自分の話をどう整理して相手に伝えるかとったロジカルシンキングをイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、少し違います。

例えば、皆さんがある企画を上司や顧客に提案した際、事前にしっかりメリットやデメリットを整理した上で論理的に話を組み立てて話したにも関わらず、「なんとなく気に入らない」といった理由でダメ出しを受けてしまう。このような経験、おありではないでしょうか。

これは人間が元々論理的な生き物ではなく、感情に支配された生き物であるためです。わかりやすい例ですと、本能的に「好き(感情)」と判断した人や物に対しては、好きであることの「理由(論理)」を考えますよね。「なぜその人のことが嫌いとは思わないのだろう」とは考えないわけです。

このように、相手に何かを説得したいと考える場合には、論理的に伝えることの前段階として、事前に相手の感情に働きかけることが重要となります。

今回の参考文献は『PRE-SUASION 影響力と説得のための革命的瞬間』です。

 この「事前に相手の感情に働きかけること」は、著書の中では「下準備(プリスエージョン)」という用語で説明されています。

類似性を高める

相手を説得するための最もポピュラーな下準備は、相手からの好意を引き出すことです。好意を引き出してしまえば、その後の説得は非常に楽になります、なぜなら、相手はあなたの説得を受け入れる理由が「あなたのことが好きだから」と整理できるからです。

著書では、類似性を高めることで相手からの好意を引き出すことが可能と述べます。

人は自分と似た人を好みます。これは、人間としての経験のほぼ最初から組み込まれている傾向です。たとえば幼児は、自分と似た表情をする人に対して、他の大人よりも多く微笑みかけます。この親近感は、たいしたことではないような類似性からもたらされることもありますが、それでも大きな効果を生み出します。言語様式(会話で使われる単語や表現の種類)の類似性は、恋愛に関する魅力、関係の安定性、そして、いささか驚くべきことに、敵対的な交渉が平和裏にまとまる見込みを上昇させます。さらに重要なのは、たいていの場合、会話の当事者たちがこうした言語様式の重なりに気づいていないにも関わらず、その影響が生じるということです。

よく、出身の大学や高校が一緒だったり、子どもの頃に育った場所に共通点があると、突然ぐっと心理的距離が近くなることってありますよね。 

それと同じで、相手の身振り手振りや言葉の使い方などを、悟られない程度にコピーするのも類似性を高めることにつながりますから、相手との距離を詰める上で有効だと思われます。

お世辞を言う

もう一つ、相手からの好意を引き出すための手段として有効なのがお世辞です。

これなかなか苦手な方が多いですよね。私も得意ではないです。あからさまなお世辞に受け止められて、「あ〜、この人お世辞言っているな」と逆にネガティブな印象を持たれるのではないかと恐れるからです。

ですが、著書の中では、あからさまなお世辞でも問題ないと述べます。

中国の大学生を対象にした研究では、ある洋品店から「ご連絡差し上げたのは、あなたがファッショナブルでスタイリッシュだからです」という文面を文面が前もって印刷してあるチラシを受け取った場合、その店に対する肯定的な考えが生まれ、その結果、そこで買い物をしたいと考える人が増えました。

 これはなかなか面白いですよね。お世辞を言うのが苦手という方も、これで少しはハードルが下がったのではないでしょうか。

このブログの読者の皆さんは聡明で行動力の高いと思いますので、是非「類似性を高める」と「お世辞を言う」の2点を実践いただき、相手からの好意を引き出してみてください。

[参考文献]
ロバート・チャルディー二 著,安藤清志 監訳,曽根寛樹 訳『PRE-SUASION 影響力と説得のための革命的瞬間』

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