仕事を円滑に進めるための「頼み方」

今回は仕事を進める上での「頼み方」についてお話ししたいと思います。

皆さんお仕事をされているなかで体感としてご存知かもしれませんが、一人だけで完結できる仕事は非常に少なく、ほとんどの仕事はチームのメンバーや社外のパートナーと協力して行う必要があります。

ですが、他のメンバーに負担をかけたくないからといった理由で、自分一人で仕事を抱え込んでしまう方もたくさんいらっしゃるように思います。

今回は、あなたが思っている以上に、周りの人はあなたのことを助けたいと思っているということをご説明した上で、どうすればスムーズに周りに助けを求めることができるかについてお話ししたいと思います。

今回の参考文献は、『人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学』です。

人は思っているよりも助けたがっている

ところで、皆さんが誰かに頼み事をするときに、実際に相手がどれだけ頼み事を受け入れてくれるか、またどれくらい断られるかをイメージしてみてください。

多くの方は断られる確率を高く見積もります。これが一般的に人々が他人に助けを求めることが苦手な理由です。ですが、実際に頼み事をしてみると、意外と快く引き受けてくれることが多いということはなかったでしょうか。このことはコーネル大学の組織行動学教授バネッサ・ボーンズが行った実験で裏付けられています。

ボーンズは、被験者延べ一万四〇〇〇人以上の見知らぬ人にさまざまな種類の頼み事をした複数の研究を分析し、被験者が成功率を平均で約四八パーセント低く見積もっていたことを明らかにしました。つまり、私たちが思っているよりも約二倍、人は誰かを助けたがっているということです。

いかがでしょうか。もし頼み事を受け入れてもらえる確率を低く見積もっていたとしたのであれば、実際はその倍近くの確率で受け入れてもらえるということですので、これだけでも頼み事をすることのハードルは下がるのではないでしょうか。

折角頼み事をするのであれば、頼んだ相手にも快く引き受けてもらいたいものですね。

相手の強みを生かす

もし仕事でヘルプを求めたいときに、メールの一斉送信で呼びかけるとしましょう。どれだけの人があなたを助けてくれるでしょうか。もしかしたら誰か一人くらいは助っ人が現れるかもしれませんが、多くの場合はスルーされるでしょう。

これは著書の中で「責任の分散」という言葉で説明されております。要するに、助けを求める相手が複数に及ぶことでメッセージが希薄化し、相手方は「他の誰かだ助けるだろうから別に私は助けなくてもいいだろう」という考えになるのです。

よって、頼み事をする場合は、特定の相手を名指しする方が良いです。

さらに、頼んだ相手にしかできないということを強調すると尚良いです。

人が与えたがっているのは、その人しかできない(堅い言葉にすれば「代替不可能」な)サポートです。自分にしかできない形で誰かを助けることで、私たちの自尊心が高まるのです

「その人にしかできない」仕事というのは、実社会ではなかなか難しいかもしれません。コールセンターなどのオペレーション業務であれば、業務内容が属人化してしまうとそれだけでサービス品質にばらつきが生まれてしまいますから、なるべくマニュアル化などをして平準化するのが自然な流れです。

よって、ここでは「その人固有の強みが生かされている状況」をイメージいただくとよいでしょう。

資料作りが得意なのであれば、資料の内容のレビューをお願いするのもよいと思いますし、外国語が得意なのであれば、翻訳の一部をお願いするのもよいと思います。

ポイントとしては、下記の2点です。

  • その人にしかできない頼み事であることを強調する
  • 頼み事が仕事にどのような影響を与えているかを説明する

その人にしかできないということであれば、相手はその頼み事を引き受けることでどのような点で役に立てるのかを知りたいと思うでしょう。

頼み事をするときは、2点目のポイントも意識していただくとよりよいと思います。

組織で協力意識を醸成する

最後に、組織として頼み事をしやすい環境にするにはどうすればよいかについてお話しします。当然のことながら、従業員同士がギスギスした環境では、とてもではないですが頼み事はできないでしょう。

著書では、組織内で協力意識を醸成する方法として下記の2点を挙げています。

  • 共通の目標に目を向ける
  • 共通の敵を探す

「共通の目標に目を向ける」は、組織内において目標がコンフリクトしている場合に有効です。よくあるのが、営業部門の売上目標と管理部門のコスト目標がコンフリクトしているケースです。

この場合は、経営者の方は会社としてのあるべき姿(適切な利益目標など)を明示し、全社的に周知することで共通の目標を認識させ、協力関係を醸成することが可能となるでしょう。

「共通の敵を探す」は、あまり積極的におすすめできませんが、競合他社といったライバルに目を向けさせるのは有効でしょう。

第三者に対する敵意ほど、人々を結びつけるものはありません。共通の敵や競合他社に意識を向けることには、共通の目標に意識を向けることが集団の結束力を高めるのと同じ効果があります。

以上、仕事を進める上での頼み方と、頼み事をするための環境づくりについてお話しさせていただきました。

頼み事をする前提条件として、従業員同士の日々のコミュニケーションを通じて、お互いの強みを知ることが重要となってきます。是非、業務の合間でレクリエーションをするなど、「相手について知る機会」を設けていただくとよりよいのではないかと思います。

[参考文献]
ハイディ・グラント 著, 児島修 訳『人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学』

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